「危ないからこれ使いなさい」西桟橋で出逢ったオジーの優しさ

「危ないからこれ使いなさい」西桟橋で出逢ったオジーの優しさ

ぶっきらぼうな優しさ

沖縄県の八重山諸島にある小さな島・竹富島(たけとみじま)。

その島の絶景スポットのひとつ『西桟橋(にしさんばし)』で、釣り中のオジーに出逢った。

オジーは裸足でウロウロしていた私に「そこ滑るさ。危ないからこれ使いなさい」と言って島ぞうりをポーンと投げてくれた。

ぶっきらぼうだけど、優しさにあふれたオジーとの物語。

オジーと出逢った西桟橋

西桟橋からの絶景

竹富島に来たら一番に行きたかった場所、それが西桟橋だ。

初めて竹富島を訪れたのは7月。

私はひとり強烈な日差しをじりじりと感じながら、自転車で西桟橋を目指す。

島は思ったよりも小さくて、あっという間に目的地へとたどり着いた。

自転車を止め、大きく深呼吸をする。

いや、あまりの美しさにしばらく動けずにいたという表現のほうがしっくりくる。

ようやく動く気が起きて、橋の先端のほうへとゆっくり歩きだした。

このとき橋にいたのはカップル1組と釣りをしているオジー、そして私の4人だけ。

カップルは暑いと言いながらすぐにいなくなってしまい、オジーと私でこの絶景をふたり占めするという形になった。

「危ないからこれ使いなさい」

桟橋の先端

せっかくだから足だけ水に浸かろうと思った私は、当時愛用していたおしゃれサンダルを脱いで裸足になった。

橋の先端はちょっと坂になっていて、そこを降りれば海だ。

そろーっと坂を下ろうとしたとき、後ろから声がした。

『そこ滑るさ。危ないからこれ使いなさい』

振り向くと、声の主は釣りをしていたオジーだった。

そしてオジーは自分が履いていた島ぞうりを、ポーンと私に投げてくれた。

「すみません!足、熱くないんですか?」

私がそう聞くと、

『もう慣れてるから大丈夫さ~。それ履いてれば安心だから、足冷やしたらいいさ』

とオジー。

私はお言葉に甘えて、ジャブジャブと水に浸かった。

きっとまた会える

潮が引いた西桟橋

お礼を告げ、島ぞうりをお返しすると、

『ここから見えるのがコンドイビーチ。もうすぐ潮が引くから行ってみるとおもしろいよぉ』

と教えてくれた。

『この島は小さいから、きっとまたそのうち会えるさ~』

もうちょっとお話聞きたいなぁという私の心を見透かしたのか、そう言ってふたたび釣り糸を海に垂らした。

ぐるりと島を周ったあとオジーに感想を伝えたくて西桟橋へと戻ったが、潮が引いて別世界となった景色があるだけで、オジーの姿はどこにもなかった。

オジーありがとう、どうかお元気で。