旅の朝のいい出逢い。朝イチのニシ浜にいたのは、ダンディなねじりハチマキさん。

旅の朝のいい出逢い。朝イチのニシ浜にいたのは、ダンディなねじりハチマキさん。

以前の記事『島旅での朝が好き』でも話をしたが、朝の時間というものは、島旅の楽しみのひとつである。

なかでも楽しみなのは、人との出逢い。朝出逢う人はなぜか印象深い人が多いのだ。

いつもなら「おはようございます」とあいさつをして、「朝早いですね」「あなたもね」と会話が始まってゆくのだが、このときは違った。

旅の最終日の朝

夜明け前の空

波照間島の旅の最終日。

寝てなんかいられないので、夜明け前に起き出して、自転車でクリームソーダ色の海が美しすぎるニシ浜へ。

このときは5月末。梅雨真っ只中なのによく晴れてとんでもなく暑かったが、朝の空気はひんやりして心地よかった。

すれ違った人はひとりもおらず、浜辺にも誰もいなかった。

誰もいない砂浜

同じ場所でも、時間帯が違えばこんなにも空気だったり見え方だったりエネルギーだったりが変わるものなんだなぁとしみじみ。

ヤドカリと遊び手紙を書く

巨大ヤドカリ

私は砂浜に座ってヤドカリと遊ぶ。

殻から目だけを出している恥ずかしがりやな子もいれば、仲良くなってよじのぼってくる子もいた。なぜ石が動いてるんだろうと思うくらい巨大なヤドカリにも出逢った。

しばらくたっても誰も来なかったので、持ってきたレターセットを引っぱり出し、ここで手紙を書くことにした。

宛先は…そう、自分へ。

昨日星空観測タワーで記念スタンプを押したハガキに、今の気持ちを帰った後の自分へ綴る。

そして記念切手を貼り、波照間郵便局の消印を押してもらうのだ。

誰もいないはずが突然呼ばれる

東屋

手紙を書き終え、宿に帰ろうと立ち上がったときのことだった。

突然どこからか『オイ!ショーコか!?』と大きな声がした。

まさか人がいると思わなかったので、少々、いや、だいぶ驚いた。

振り返ると、東屋にねじりハチマキをしたダンディなおじさまがいるではないか!

しかも、こっち見ているではないか!!

しかもしかも、ストレッチしてるよ!!!(身体やわらかっ!)

私はショーコではない、ミサキである。でも、この砂浜にはどう見たってねじりハチマキさんと私しかいない。

ねじりハチマキさんは『ショーコか?ショーコだよな?』と、間違いなく私に向かって叫んでいる。

誰かと間違えてるんだ、人違いの誤解を解くしかないと思い、私はびくびくしながらねじりハチマキさんのもとへ歩いた。

ダンディなおじさまの誤解

ハテルマブルー

『あれ、ショーコじゃないな?見ない顔だな?すまん。』

「ハイ、すみません」

年齢はワタシの父より少し上くらいだろうか。勢いのある人だったので、私はなぜか無意識に謝っていた。

『まあいい、誰だ?』

「(まあいい…笑)あ、えーっと、茨城からきた旅人で…」

さらに増す勢いに、私はタジタジ。

話を聞くと、どうやら波照間に住む知り合いによく似てたからあいさつをしようと思ったとのこと。

私はねじりハチマキさんの近くに座り、太陽の光でどんどん輝きを増してゆくハテルマブルーを眺めながら、しばらく話をすることに。

砂浜に座って何してたのか?絵でも描いてる人なのか?どこから来たのか?名前はなんだ?いつ帰るのか?

まるで尋問のよう。それにひとつひとつ答えてゆく。

そして、ねじりハチマキさんは、その質問の数だけ自分のことも話してくれた。

最初は勢いに圧倒されたが、実はとてもやさしくおおらかな人で、いつの間にかふむふむと聞き入っている自分がいた。

まだまだ話していたかったけど、宿の朝食の時間が迫ってきてしまい、ここでお別れ。

『朝メシは大事だからな!しっかり食べろ!』

ねじりハチマキさんにお礼を言い、私は自転車で宿へと戻った。

朝食後、船の時間までニシ浜で遊んでいたが、ねじりハチマキさんは現れなかった。

 

あれから6年経った今でも、このときのことは鮮明に覚えている。

旅の朝のいい出逢い。